牛車で往く

日記や漫画・音楽などについて書いていきます 電車に乗ってるときなどの暇つぶしにでも読んでください

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満塁ホームランを1試合で2本も見れるなんて貴重な体験ができたと思うことにする

最近気候がいいから外に出たい。ということで甲子園へ、阪神タイガースと中日ドラゴンズの試合を観に行ってきました。

 

阪急電車、阪神電車に乗って、1時間近くかけて甲子園へ。電車の中では読書がはかどる。家にいると意外と読書が進まない。ついついYouTubeを見ちゃったりして、本を手に取るまでの活性化エネルギーが高くなってしまう。電車の中ではね、座れさえすりゃあもう最高。なぜか家より集中できる。昨日は片岡義男の短編集「スローなブギにしてくれ」を読みました。

 

スローなブギにしてくれ (角川文庫 緑 371-4)

スローなブギにしてくれ (角川文庫 緑 371-4)

 

 

表題作のバイクに乗っている場面の描写がいい。

 

 音を頼りに八〇〇〇を三〇〇ほどこえたあたりでホールドした。ギアはすでに五速だ。ミラーのぶれが、不思議なほどぴたりととまっていた。 p9 

 

なんてクールな描写。「ミラーのぶれが、不思議なほどぴたりととまっていた。」と書くことでバイクの速さを表現するなんて。めっちゃかっこいい。わたしはバイクに乗ったことなどないが、なぜだか感覚として理解できる。すごい。そしてこの表題作が読み終わりそうなところで梅田駅に着いてしまった。『ああ、あともうちょっとで読み終わるのに。でもここで降りなあかんし。』と、最後に駆け足気味でブワーっと読むことになってしまった。なんだかモヤモヤした。ギリギリ読み終わらないなんて、読んでいる小説はクールなのに、現実はそううまくはいかない。

 

梅田駅で降車し、阪急電車から阪神電車に乗り換えようと歩いていると、もはやそこらへんに甲子園へと向かう阪神ファンの姿が目に入った。夫婦や親子にカップルまで、みんな阪神のユニフォームを着て歩いている。夫婦の奥さんのほうなんて、スマホカバーまで阪神のものだ。めっちゃ好きなんやね、阪神のことが。そんな姿を見て、たいしてファンの球団もないし、天気がいいからというだけの理由で野球を観に行こうとしている自分の熱量の足りなさを実感した。が、しかし別に反省するような案件でもないので今日は楽しもう。晴れてよかった。

 

阪神甲子園駅に着くと、球場出口の改札が阪神のユニフォームの縦じま模様になっていて大変可愛らしかった。こういうのいいね。そして友達と合流し、お昼ご飯を食べてから、いざ甲子園へ入場。甲子園球場は気持ちがいい。やっぱりドーム球場よりも屋外球場のほうが気分爽快である。三塁側のアルプスに座り、球場全体を見渡してみると開放感を感じる。そして天気もいい。昨日は少し暑いぐらいであった。Sunny Day SundayならぬSunny Day Saturday。

 

 

ああ名曲。この日はデーゲームであったが、ナイターも、もちろんいい。ナイターの甲子園球場では、夜の照明がグラウンドを照らしていて、それがなんだか現実味を薄れさせる。いつかの阪神対ヤクルト戦のナイターを観に行ったときは、山田哲人の姿を生で見て、『ヤクルトの山田ってホンマにおるんや』なんてことを思ってしまった。トリプルスリーを三回も達成した男(その時点では二回であったが)。そんな人物の存在が普段は嘘のように感じられるが、球場に足を運び実際に目にすることで本当に存在していることを実感できる。そして家に帰ってから観戦した試合を思い出しているときは、なんだかさっきまでの出来事が夢の中で起きていたことのように思えて、捉えどころのない感覚に襲われる。試合を観終わって何かが自分の中に残ったようで何も残ってないような不思議な感覚。

 

そして、14時になりプレイボール。阪神の先発は岩貞。中日の一番打者、京田を三球三振で抑える幸先のいいスタート。「今日の岩貞、最強ちゃう?」なんてことを友達と言ってしまう。が、初回に早速1失点してしまった。思わせぶりなことをしてくれる、岩貞。しかし、三回までは1対2と、負けてはいるものの中々いい試合。前日に初ヒットを打った木浪に初打点が生まれ、球場が盛り上がる場面もあった。近くに座っていたおっちゃんは、木浪のためにオリジナルの応援グッズを持って来ており、木浪が初打点を記録した時は、まるで自分が打ったかのように360°全方位に向かって帽子をとってお辞儀をしていた。なんでやねん、おっちゃん。あんたなんもしてへんがな。しかしまあ、なんとも嬉しそうな顔をしていてほっこりした。そしてこのときにわたしは、自分が阪神を応援しているのではなく、阪神を応援する阪神ファンを見るのが好きであることに気が付いた。試合が始まる前から、顔が真っ赤で既に出来上がっている人がいたり、阪神ファンには見る分には愛嬌があって愉快な人が多い。わたしは阪神ファンを応援します。

 

しかし、悲劇は四回に待っていたわけで。なんと中日の京田に満塁ホームランを打ち込まれてしまいました。京田が打った瞬間はライトフライでタッチアップで点とられたかとか思っていたら、そのままスタンドイン。おいおいおい。阪神の選手がフライを打った時は、とりあえずなんでも『ホームランか!?』と思ってしまうのに、相手のチームが打った時は、そうは思わない不思議。ほんとに不思議。

 

ただ、阪神もやられっぱなしではないわけで、六回に近本のホームランで1点を返した。数日前の梅野がサイクルヒットを記録した試合が頭によぎる。『これは・・・、終盤になにかあるぞ!?』と。そして実際、終盤には劇的なシーンが待っていた。悲劇の。まさかの八回、中日の攻撃で本日2本目の満塁ホームランが。

 

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スコアボードに刻まれるふたつ目の「4」。なんかもう逆にテンション上がったよね。堂上に満塁ホームランを打たれるまでの流れよ。阪神のピッチャー岩崎のやたらとボールが先行していくピッチング、そしてサード大山のエラー。今振り返ればもう不穏な雰囲気が漂っていた。いや、まさか満塁ホームランが結末として待っていたとは思っていなかったけれど。『これは・・・、なにかあるぞ・・・』と。まあものは捉え様、1日に2本も満塁ホームランを見れるなんてそうあるもんじゃないぞ、貴重な体験ができたぞと思うことにしました。

 

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そのまま暖かった天気も少し肌寒くなっていき、試合もあまり盛り上がらず終わってしまった。現実はフィクションとは違うから、天気が心象風景を映し出すなんてことはあり得ないけれど、なんだか試合の展開とともに気温も下がっていったように思わずにはいられなかった。呆れた阪神ファンは試合終了を待たずして帰ってしまったということで、まあしょうがないよね。

 

まだまだペナントレースは長く、始まったばかりだ。阪神、そして阪神ファンの皆さん、頑張ってください。応援しています。