3日ぐらい前から蝉の鳴き声が聞こえ始めた。そして昨日ぐらいから本格的に暑くなってきた。やっと夏本番が始まったのだろうか。思えば、今年の5月あたりはまだ春なのに夏かよっていうぐらい暑い日が続いた。5月でこれとか夏が怖いな、と思っていたけれど、いざ夏が始まってみるとあんまり暑くない。それを受けて一転、今年の夏は涼しいなあ、などと思っていたが、正直去年の今ごろがどれだけ暑かったのかは覚えていない。毎年毎年そんなことを思いながら、気づけば蝉の鳴き声が聞こえてくるのが夏なのでしょう。蝉と言えば、蝉の寿命は一週間以上あるということを研究で明らかにした高校生の話題を思い出す。
そもそも本当に蝉の寿命は一週間なのか?と疑問を抱いたところが凄い。そんなん疑ったこともなかったよ、自分は。そして、それが気になって実際に自分で確かめてみようとした行動力も凄い。彼の世界は伸び伸びとしていて広く思える。私も彼と同じ世界に生きているはずなんだけど。
気温が高くなってから、通勤中に通る川の土手が蒸し暑くなってきた。土手に生い茂っている草から水分が蒸散されているからなのだろうか。夏には本当に草花の生命力というものを見せつけられる。自転車に座っている自分の目線と同じぐらいの高さまで草が生い茂っている。おそらく業者の方が伸びすぎた草を刈ったであろう次の日、もはや次の緑が地面から顔を出している。自分の毛根も年をとってもこれぐらい生命力に溢れていてほしいなんて思ってしまった。そして、生い茂った草の隙間から相変わらずスズメが突然飛び出してきて自転車で轢きそうになる。危ないなあなんて思うけれど、そんなスズメの姿が可愛らしくも思える。そしてふと、自動車の免許を取るために教習所に通っていた時の出来事を思い出した。教習所内を車で走っていると目の前に突然ハトが降りたって来て急ブレーキを踏んだときに、助手席に座っていた教官に「急ブレーキをかけて追突されて事故になるぐらいなら、ハトをひき殺したほうがいい」と言われた。そのときの衝撃ったら。『えっ、それは冗談とかじゃなくて本気で言ってんのかな?』と思ったが、教官の顔を見ればどうやら本気のようだった。確かに急ブレーキをかけて追突されて大事故になるのは危ないけれど、ハトをそのまま轢けるほど私の神経は図太くはない。ただただそんな場面が実際の路上では起きないことを祈ることしかできない。
暑くなってきたから、家にいるときはクーラーをつけるようになった。クーラーの効いた部屋で寝転びながら読む漫画は最高。田島列島の「子供はわかってあげない」、何回読んでも本当に面白いし飽きない。
なにより漫画に出てくるキャラの言動や小ネタが最高。絶妙なしょうもなさ。これは褒め言葉です。読んでいて楽しくなるしょうもなさ。大会前に部活に行くのを忘れていた主人公の朔田さんが、たるんでいることからトリンドル玲奈をもじって「タルンドル朔田」ってあだ名になっちゃうと騒ぐのが面白くて可愛い。もう一人の主人公である男の子、門司くんが「へえ」とセリフを言った吹き出しの外に、手書きで地味に書かれている「1へえ」もいい。実際自分が小学生の時にこんなことを言ってたなあと思い出した。友達がしょうもないことを言ったときに、そのしょうもなさ具合を表現するために「3へえやわ」とか言ってたな。そうするとその友達は「っしゃああ!はい、300円もらったああ!」とはしゃぎだしてイラッとしたことも覚えている。懐かしい・・・。朔田さんが所属する水泳部の名もなき女子のモブキャラに個人的な第二次沖縄ブームが訪れていて、やたらとサーターアンダギーを食べたがっているのもいい。それぞれのキャラに口癖みたいなものがあって、それがキャラを特徴づけている。こういうちっちゃいところに作者のこだわりみたいなものが書かれている作品は面白い。クドカンの作品とかもそんな感じがある。セリフ運びもいいしね。なんていうか、ストーリーを分かりやすくするための無駄のないセリフ運びというよりは、作者が面白いと思う会話を優先して書いているのがいい。ホンマに友達と楽しい会話をしているときを思い出すくらい。人間味に溢れていて、そこに個性が宿っている。キャラが生き生きとしている。そして、もちろんストーリーも素晴らしい。色んな問題が解決して門司くんに会う口実がなくなった朔田さんが
もじくんと話したいな
なんで今夏休みなんだろう
と思うところは可愛すぎるし、クライマックスの学校の屋上でのシーンの門司くんと朔田さんのやりとりなんて、胸がキュンキュンする。ああ、なんていい漫画なんだろう。これからも何回も読み返すことであろうよ。そして、夏の外の暑さに参ってしまい、クーラーの効いた部屋についつい引きこもってしまうけれど、この漫画を読むと外に出て誰か友達と会いたくなる。ああ、何回も言うけれど、とにかくいい漫画です。