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手の描き方がいい漫画(和山やま「女の園の星 1巻」)

和山やま先生の「女の園の星」の一巻を読みましたけれども、面白いですね。

 

女の園の星(1)【電子限定特典付】 (FEEL COMICS swing)

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  • 作者:和山やま
  • 発売日: 2020/07/08
  • メディア: Kindle版
 

 

今回は女子校の先生が主役ということで、まあこの星先生と小林先生のコンビがいい味を出している。中でも個人的に4時間目(第4話)の星先生と小林先生のふたりが居酒屋に行く話が気に入ったんですが、そこで小林先生が話していたサザエさんを録画して土曜日に見る論に妙に納得してしまって、一気に小林先生のことが好きになりました。そしてそんな二人のやりとりを読んでいて、わたしはこう思うのです。自分の人生にはバディが足りないと。この世の様々な漫画の主人公たちには魅力的なパートナー、いわゆるバディのいることの多いことよ。そんな関係性に憧れてしまい、わたしにもバディがいてほしい、それと同時に自分もだれかのバディでありたい、そう思った次第です。後半はもはやバディと言いたいだけです。

 

そして相も変わらず登場人物たちの会話というかやりとりが面白いのですが、他にも和山やま先生独特の描き方が好きでして。「夢中さ、きみに。」でいうところの、林くんと松尾さんが会話をしているときに出てきた「目を見て会話しない2人」というリボンみたいな表現です。今回で言えば、サークルの部室で気まずさを覚えて隅っこで立っている大学生のころの星先生の顔をわざわざアップにするところとか、星先生観察ニッキャーに関する注釈だとか。鳥居さんは「~するひと」という意味ですぐに「er」を付けたがる人なんやろなあってなります。

 

そうなってくると細かいところまで何か描かれていないか、小ネタはないかと一コマ一コマを探しながら読んでしまうのですが、そうするとなんというかキャラの所作がいいということに気づき始めまして。3時間目の話の女子生徒が星先生に見てもらおうとカバンから漫画を取り出そうとするところの所作とか、その漫画を受け取った星先生が「では拝見します」と漫画の束を机でトントンするところの所作とか。ていうか会話をしながらも何か別の動作を並行してやってるところをちゃんと描いてるのがいい。ある場面では、星先生は小林先生の話を聞きながらテストの採点をしているし、小林先生がカロリーメイトを食べるところなんて、箱から取り出して袋を開けて食べるところに3コマ使い、そのあともぐもぐしてごくんと飲み込むところまで描かれている。そういう部分をちゃんと描いているからこそ、リアリティと言えば違うのかもしれないが、なにか妙にキャラがイキイキとしているように思えてくる。う~ん、やっぱこの漫画いいなあ。

 

っていう風に読んでいると、手かな、手の描き方がいいんかなとも思えてきまして。手の存在感がすごいというか、手をちゃんと描いてるというか。ページをめくったり、あごに手を当てたり、人の肩をポンと軽く叩いたり、やたらと手の動きを見てしまいます。居酒屋で星先生がおしぼりで手を拭くコマとか、わざわざそんなにでかくするかねっていうくらい何気ないシーンだと思うんだけれども、確かに居酒屋に行ったときって、おしぼりで手を拭きながらおもむろに会話を始めるよなあとも思う。もしかして和山先生は手フェチか?っていうくらい手がいいです、手が。そう思うと表紙の手もなんか気になり始めたな・・・。

 

もはや何度も再読するほど面白くて、読むたびに気になる箇所が増えていきます。こちらのサイトで一話試し読みができるんでぜひ。

 

www.shodensha.co.jp