牛車で往く

日記や漫画・音楽などについて書いていきます 電車に乗ってるときなどの暇つぶしにでも読んでください

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御所の読み方は「ごしょ」で、御苑の読み方は「ぎょえん」

最近は洗濯物の乾きが非常に悪いから、せめて朝早くから洗濯して外に干しておく時間を少しでも長くできれば多少は乾きもマシになるだろうと、自分が目を覚ましてすぐに洗濯が開始されるよう、洗濯機の開始タイマーを予約しておこうと思い立った。洗濯機の予約タイマーは細かく時間を設定できるようなものではなく、六時間後もしくは九時間後に開始の二つしかない。そこで昨日の夜に、起きる時間から逆算して九時間後に洗濯が始まるようにとタイマーを設定した。そして今朝、スマホのアラームではなく洗濯機の動き出す音で目が覚め、スマホの時計を確認してみると、自分が起きたかった時間よりも一時間以上も早い時間であった。洗濯機の体内時計は狂っている。目を閉じてもう一度眠ろうとするが、一人暮らしの部屋は狭く、洗濯機の音は嫌でも部屋中に響きわたる。貴重な休日ではあるが、十分な睡眠をとることは諦めて、しぶしぶ起き上がり歯を磨く。しかし、せっかく早く起きたもんだから、時間を無駄にしてはもったいないなと思い、早朝からどこかへ行こうと考えた。なんとなく広い公園を散歩しよう。早朝に公園を散歩なんて、なんだかおじいちゃんみたいだけど。ということで、まずは出かけようと思った気持ちが揺らいで、結局外に出るかどうか悩んで部屋でグダグダ時間を無駄にしてしまわないように、in the blue shirtの「Stevenson Screen」のMVを見て、今一度外出の決心を固めた。

 


in the blue shirt - Stevenson Screen

 

このMVは光の具合が絶妙で、見ているとなんだか外に出かけたくなる。撮影された時期はMV内の服装からしておそらく夏なのだろうが、映像の空気感は春夏秋冬のいずれの季節のものも孕んでいるように思える(よく見たら普通に冬っぽい服装もありました)。さすがは百葉箱といったタイトル。さらにはアウトロのギターソロも絶品で、この部分だけでも何度も聴きたくなる。最高。ということで、このMVを見ながらどこに行こうかと考え、京都御苑にでも行こうと決定。ぎょえん。御所は"ごしょ"なのに、御苑は"ぎょえん"*1。ぎょえんってなんかすごいよね。

 

なんやかんやで京都御苑に到着。

 

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休日とはいえ、やはり早朝は人が少ない。そしてこのだだっ広さ。

 

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やはり広く開けた空間はそれだけで気持ちがいい。ただでさえ人が少ないのに、こんだけ広けりゃあソーシャルディスタンスなんて取りたい放題だ。そう思えば東京旅行で皇居外苑に行った際も、その辺りはとりわけ風の通りが良くて、気持ちが良かったことを思い出す。さらには冬の早朝の澄んだ空気も相まってなかなかに爽快な気分である。冬はつとめてとはよく言ったものだ。広い御苑に敷き詰められた石の上をじゃりじゃりと音を立てながら当てもなく歩く。御苑には鳥が多い。凝華洞跡の周辺からやたらとバチバチといった音が聞こえてきて、どこからの音なんだろうと周囲を確認したところ、ある木の上から聞こえてきているらしいことが分かった。その木をよく観察してみると小さな鳥が数羽、木に止まっているのが確認できて、この音はこの鳥の鳴き声なのか、はたまた違った音なのか、なにせ何かが弾けたような音が終始頭上から降り続けていた。

 

 

気になって調べてみたところ、京都御苑のブログらしきものが見つかり、そこにはイカルという鳥が木の実を食べるときにバチバチと音が鳴るとの情報が。 

 

sample.fng.or.jp

 

しかし、わたしは自分が目にした鳥が一体何という名前なのかも分からないし、見た感じ木の実を割っている様子もなかった。謎は深まるばかりである。どなたか鳥に詳しい方は教えて頂けると幸いです。また、別の木では、そこに止まっているカラスが糞をする瞬間を初めて見た。確かに地面に落ちている鳥の糞は何となく水っぽいが、糞を落とす瞬間があんなにも唾を吐き捨てるようなものだったとは。

 

京都御苑には、まだ葉の残っている紅葉がいくつかあり、それもとても綺麗であった。この紅葉のグラデーションたるや、燃え盛る炎のようである。

 

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日が射してきて光っているのもいいね。

 

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そして、ほとんど散ってしまった木の下の、その辺りだけが落ち葉で赤く染まっているのも良い。

 

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まさか紅葉が見られるなんて思ってもいなかったから、これは嬉しい誤算。それもこれも洗濯機のタイマーが狂っていたおかげである。

 

そのまま京都御所の周りをぐるりと一周していると、自転車で走る人の姿が目に入った。砂利にタイヤが取られて走りにくいと思われるところを、御苑にはそこだけ砂利が取り払われて線を引いたようになっているルートがあり、自転車の人はその上をレールに沿うようにして走っていた。これは「御所の細道」と呼ばれているらしく、しかもどうやらわざわざ引いているわけではなく、轍として自然に発生しているらしいから面白い。

 

www.nikkei.com

 

京都御苑をあとにして、パンでも買って帰ろうと電車で帰路についていると、そういえば京都御所って鬼門の方向になんかあったよなといったことを思い出す。すぐにスマホで調べてみると、やはり鬼門の方向の塀の角は「猿ヶ辻」と呼ばれており、そこだけ鬼門を避けるとの意味を込めてへこんだ形をしているそうであった。完全にそんなことは気にせずに一周してしまった。見逃している。もったいないことをしたと思いながらも、今回の早朝京都御苑散歩は思いのほか楽しかったため、また来るかもしれないと気を取り直す。そして、新宿にも新宿御苑なるものがあるようで、そちらもいつかは是非とも行ってみたい。めちゃくちゃ広いところなんてなんぼあってもいいからね。

 

そして今日の日暮れ、洗濯物を取り込んで触ってみると、トレーナーなどの比較的分厚い衣服はまだまだ湿り気を残していた。朝早くに干したところでその効果は見られなかった。ということで、休日に朝早く起きる理由をなくしてしまったわたしに、一体この先、猿ヶ辻のへこみをこの目で確認する日は来るのであろうか。

*1:ちなみに御所は旧皇居のことを指し、御苑はその周辺の公園の部分を指す。