牛車で往く

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幽遊白書の魔界編を久しぶりに読んだ

久しぶりに幽☆遊☆白書の魔界編を読み直したけれどやっぱり面白かった。

 

 

 

黄泉が自らの視力を奪った敵を捕らえたのを蔵馬に見せるシーンを読んで、当時小学生だった自分は蔵馬同様心拍数が上がり、流石の蔵馬がその後すぐに心拍数を正常に戻したときもまだ自分はドキドキしたままであったが、あれから成長した今の自分は黄泉と同じ目線で、心拍数が上がっているぞ蔵馬、と偉そうに思うことができた(当時の自分は幼さゆえにまだ慣れぬグロい描写にビビって心拍数が上がったのであり、一方蔵馬は自分が差し向けた刺客が捕まってヤバい!バレた!ということで心拍数が上がったのであって、それぞれ理由が異なっているが)。それにしてもこのシーン、当時の自分は良いもんチームである蔵馬が仲間(黄泉)に刺客を向けるなんて、そんな酷いことするはずがない!と、すんなり受け入れられずにいたが、今は妖狐蔵馬と南野秀一が別人格であるという設定を理解できるから、妖狐のころやったらまあそういうこともしてたやろと思える。アニメのオープニング曲「微笑みの爆弾」に関しても、小学生のころは歌詞の

 

都会の人ごみ 肩がぶつかって ひとりぼっち

果てない草原 風がビュンビュンと ひとりぼっち

どっちだろう 泣きたくなる場所は

2つマルをつけて ちょっぴりオトナさ

 

の部分を聴いて、大人になれば①都会の人混み、もしくは②果てない草原のどちらかに、泣きたくなる場所の答えとして圧倒的正解の二重丸◎を付けられるようになる、と解釈していたのだが(「2つマル」とは二重丸のことだと思っていた)、今はそのどちらにも孤独を感じるのが大人なんだと分かる(分かったつもりになれる)。

 


【『微笑みの爆弾』OP映像】 幽☆遊☆白書 25th Anniversary Blu-ray BOX PV">

 

魔界編は戦闘シーンが少ないのに面白いのは流石。幼いころは主人公側にしか感情移入ができなかったけれど、いまはフラットな目線で読めるようになったからより面白い。読んでいると黄泉ってこんなにも人間臭かったっけ?となる(魔族臭い?魔族も人間もそれほど変わらない?)。魔界統一トーナメントを見ていても、蔵馬と時雨が二回戦で対戦し、後日談として、その前にほぼ相討ちとはいえ飛影に負けていた時雨に蔵馬が相当苦戦したことが仄めかされていて、戦闘シーンが描かれていないからこそ、そう単純ではない展開を想像させられて面白い(飛影vs時雨は最高。てか飛影の戦闘だいたい最高)。飛影と戦ったときの時雨は軀の側近77人のうちで一番弱いとされていたが、最終的に黄泉の軍のNo.2にまで強くなった蔵馬と互角の勝負を繰り広げたということは、時雨も何かきっかけがあって強くなったんだなと想像できる。とはいえ自分はジャンプで連載を追いかけながら読んでいたわけではなくて、もう完結していると分かった状態で読んでいるから、魔界編の戦闘描写の少ないところを、与えられたその他様々な情報(妖力値とか全盛期の雷禅の戦友だとか)から想像することで楽しむことができるが、まだ完結するとは知らないまま連載を追いかけていた人からしたら、おいおいそこの闘いを描かんかいっ!となったことだろうが。それに雷禅、軀、黄泉の三者の実力は拮抗していると思い込んでいたけれど、詳細には、「人間を食べていたころの雷禅」>「本気の軀」>「黄泉」という実力順だったことをちゃんと読んだ今更になって認識した。

 

というか今になって読み直した魔界編は、幽遊白書の中でもめちゃくちゃ爽やかな編に思える。雷禅の死に際して昔の友達が集まってくるといった友情シーンや、酎やら陣やらが美味い食事と適度な運動で強くなるといった修行シーン、試合中に酎が棗に惚れて口説いたり、幽助が蛍子に3年で帰ってくるから結婚しようと言ったりする恋愛シーンなどが描かれていて、なんと健全たることか。飛影の軀に対するプレゼントも、渡したものこそグロテスクだが、読後感は不思議と爽やか(ハッピーバースデイ)。霊界の闇が暴かれたあとの幽助と蔵馬の会話

 

幽助 オレがつかまえたヤツの中にも……いたのかなァ

蔵馬 深く考えない方がいいですよ

 

も、混沌とした仙水編を通ったからこその独特な爽やかさと切なさがある。この爽やかさと切なさは、この時代のマンガにしかない空気感みたいな気もする。

 

他にも読んでいると明らかにダウンタウンであろうやつらが出てきたり、飛影の身長を池乃めだかくらいと表現していたりもして、冨樫義博は芸人が好きなんだなとなった。そういえばHUNTER×HUNTERというタイトルもダウンタウンからインスピレーションを受けていたんだったっけ(今調べたら、ノブナガのモデルって松っちゃん説があるんや・・・。確かにそう言われれば似ている)。あとは魔界編は会話がいい(冨樫義博の漫画はだいたい会話がいいけど)。「今死ね」とか「そのうち やみつきになるぜ」「冗談に聞こえないからこわい」とか。めちゃくちゃセリフっぽいセリフやねんけど、そこに無駄がなさすぎてカッコいい。幽☆遊☆白書を読んでいたらハンターハンターも読み返したくなってくる。そういえば昔どこかのファンサイトで、グリードアイランド編で飛影が指名手配されていると読んだ気がする。普段はバーテンをしているハンターが様々な裏設定を考察するといった設定で、ワンダーハンターというサイトかと思ったけれど、それっぽいページは見当たらなかった。

 

geolog.mydns.jp

 

この前外を歩いていたら、小学生がお母さんと待ち合わせをして一緒に帰っているところに遭遇した。男の子は両手に荷物をパンパンに持っていて、もしかしたらその日で学校が終わって春休みに入るところなのかもしれなかった。二人は自分の後ろを歩いていたのだが、男の子が「iPadも持って帰らなあかんかってん」とお母さんに言っているのが聞こえて、その子はどう見ても小学生低学年ぐらいの感じだったのだが、そのぐらいの子でも授業でiPadを使っているんだという衝撃。授業中でもネットには繋がるんだろうか。ワザップとかゲームの攻略サイトを見たくなったりしないんだろうか。今の時代は普通にYouTubeか。男の子に対するお母さんの口調が幼児語ではなくサバサバとしていたのがなんだかよかった。それから、さとうもかとMomの「いとこだったら」を聴く。

 


いとこだったら feat. Mom / さとうもか Music Video

 

「自分でも少しそう思うよ」のあとのこもった音をしたラッパのプァープァプァプァがいい。ほんでMomのパートの

君が話の中で演じる君を
眺めてはたと気がついたよ

僕は僕の大事な部分を
誰かに託したいだけなんだって

からの

素敵だけど残酷だね

っていうその行動の意味を自覚している切なさと、そのあとの

あらゆる予感は予感のまま
残しておけたらいい

っていう部分の「14番目の月」にも通ずる感覚がいい。本当にいい。なんだか幽遊白書を読んだあとに聴いたから、この曲から妙な懐かしさみたいなものを感じる、感じ取ろうとしている自分がいる。