牛車で往く

日記や漫画・音楽などについて書いていきます 電車に乗ってるときなどの暇つぶしにでも読んでください

スポンサーリンク

もうしばらく海はいい

年末年始に実家に帰ってきたはいいが、特段やることもなかったので外に散歩に出た。昼の三時ぐらいの日差しはすでにオレンジ色、夕方の気配を含んでいるって、毎年これくらいの時期になるたびに思っている気がする。マスクをずらして冬の空気を吸い込む。冬の空気は澄んだ匂いがする気がするが、本当は匂いなんてものはない、ただ空気が冷たいだけ。車道を越えるために上った歩道橋から見えた小学校のプールの水は、意外にも澄んでいて綺麗だった。あまり人がいない道を真っ直ぐ歩き続け、グラウンドが近づいてきたあたりで声がパラパラと聞こえきた。道の角のマンションから少しだけ姿をのぞかせているグラウンドの上空に凧が飛んでいるのを見つける。グラウンドの全景が見えてから、凧を上げていたのは小学校低学年くらいの男の子だと分かった。男の子はお父さんと一緒に遊びに来ていて、その他にもサッカーボールを蹴り合ったり、キャッチボールをしたりしている人たちが三組ほどいる。何となくもっとたくさんの人がグラウンドで遊んでいてほしいと勝手なことを思う。散歩のお供としてイヤホンから流していたLaura day romanceの「her favorite seasons」が良すぎて、聴きながらリリース年的にあり得ないのに高校のころにどハマりしていたかと思うくらい胸がいっぱいになった。特に「girl's bicycle」と「lovers」の特別な曲感がすごい。

 


www.youtube.com

 

それから自分が中高生の特によく聴いていたBase Ball Bearの「白雪の彼女」、「君のスピード感」、「STAND BY ME」を続けて流した。「STAND BY ME」を聴きながらこの曲はCOUNT DOWN TVのオープニングかエンディングになってたなとか、このMVでのボーカルのこいちゃんは劇団ひとりに似ていたなとかを思い出す。

 


www.youtube.com

 

元旦は閉まっているお店が多いから大通りに出ても車も人も少ない。外を歩いている人たちはみな、用事があって出かけているというよりかは散歩をしているといった趣がある。夫婦にカップル、子ども二人組、お父さんと娘二人、おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、息子の五人組など様々な組み合わせの人々と時折りすれ違う。不意に海に行こうと思いついたから向かった。川に沿って歩いていくと河口が見えてくる。河口にはカモに加えてカモメかウミネコか見分けのつかない白い鳥が集まっている。海面には夕日によってできたいわゆるオレンジロードがすうっと伸びていた。目を凝らすとそれはずっと向こうのほうまで続いていて、水平線ギリギリのあたりでも揺れる海面がオレンジ色を照り返していた。

 

 

夕日は水平線よりももっと手前にあるように思えるのに、本当はそれよりもさらに遠くに浮かんでいる事実に変な感じがした。しばらく海いいなあと思いながら眺めていると、ホンマに海っていいか?と思えてきて、改めてそんなに海っていいか?と思いながら眺めてみると、やっぱりそんなに良くない、別に自分の心は動かされていないことに気がついた。海を眺めている間は、何かしらいつもとは違う感情というか気分になっているのは確かだけれど、それは単純に目の前にあるただっ広い光景が普段あまり見ることのない新鮮なものだからってだけな気になった。一度そう思うと、夕日に関してもあんまりこういう風景を普段見ないだけで別に綺麗ってわけじゃないなあと思えてきて、動画を撮ってみたのもなんとなく暇だから撮ってみただけな気になった。大学生のころは海が好きだった自覚があるが、最近は大きくて人の多い川、街中を流れている川のほうが好きだ。海のわざわざ感よりも、川のふらっと寄れる雰囲気、人が普通にいる雰囲気のほうが好きになっている。そうすると急激に気持ちが冷めてきて、家に帰りたくなり踵を返した。引き続きBase Ball Bearを選んで「BREEEEZE GIRL II」を聴きながら帰っていると『自分でもわかるくらいの透き通った感情 これもいつか冬のプールみたいに濁っていってしまうのだろうか?』って歌詞が流れてきて、意外と冬のプールは濁ってなかったことを思い出し、なんだか違うな、とモヤっとした。もっと諸々関係のない曲、歌詞が入ってこない曲が聞きたくなり、The Strokesの「The Modern Age」を流す(今になってもっとジャニーズとかみんなで声をそろえて歌うJ-POPのほうがよかった気がする。マイケルジャクソンとかもよかったかもしれない。でも今は家でこの文章を書きながらそう感じているだけで、本当にそのときの気分に合っていたかどうかは分からない)。

 


www.youtube.com

 

それから急に町田康の小説を読みたくなり、それと同時にもうしばらく海はいいかなと思った。