牛車で往く

日記や漫画・音楽などについて書いていきます 電車に乗ってるときなどの暇つぶしにでも読んでください

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ペーパー・スーパー・ムーン

映画「小説家を見つけたら」を見た。

 

 

黒人の高校生が名作をひとつだけ残して消えた小説家に文章を教えてもらうといった映画だった。映画を見始めた最初のほうは出てきた登場人物の顔を覚えるのが難しかった。洋画では知らない俳優ばかりが出てくるから余計にそうなる。途中、主人公の高校生がアルバムに挟まれた小説家の過去の写真――若い頃に友人と写って笑っているものや小説家の兄と一緒に写ったもの――を見て、自分の知っている人物の自分の知らない時間を感じ取る。それはその人が今まで以上に生きてきたって思える瞬間、その人の人生を感じて感動が込み上げてくる、愛おしさが湧いてくる瞬間で、そんな気分になった主人公が寝ている小説家にブランケットをかけたところがよかった。あとは小説を書くにはとにかく何か文章を書き始める、何でもいいから書き始める、別に他人の作品の書き写しでもでもいいし、そうして興に乗ってところで自分の小説を書き始めるという描写があって、普通に文章を書くときに参考になると思った。映画を見るときには、この映画で監督が気に入っているシーンはどこだろうと思いながら見るのだけれど、この作品ではそれは最後のほうに小説家が自転車を漕いで夜の街を走るシーンのように思え、でもなんとなくあからさますぎる気もして違うかもしれない。

 

映画「ペーパー・ムーン」を見た。

 

ペーパー・ムーン (字幕版)

ペーパー・ムーン (字幕版)

  • ライアン・オニール
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母親を亡くした子どもと、その母親の葬式にたまたま通りかかった詐欺師の物語(と思ってたら、見終わったあとに調べたところ、詐欺師は母親と本当に知り合いのようだった。詐欺師やから適当なことを言ってると思ってしまった)。身寄りのない子どもを親戚の家まで届けてくれと頼まれた詐欺師が、人を騙してお金を稼ぎながら目的の土地まで子どもを連れて行く白黒の映画。印象に残ったシーンは子どもがタバコを吸うところで、でもそれは所作じゃなくて"子どもがタバコを吸う"というその事実。だからあんまり映画的に印象に残ったということではない。吸っていたタバコの火を、舐めて湿らせた指先でつまんで消していたのを見て、熱くないんか、と思う(本当に火が点いていたのかどうかは分からないけれど)。自分は子どもが出てきてその子が何か困難な状況に陥る映画に弱いのだけれど、この映画は演出が大げさじゃないから(それは時代のせいか、それとも監督の作風か)、子どもが何かないがしろにされるシーンがあっても、同情を誘うような表情を子役にさせることはなく、険しい顔をアップで映し続けるだけで、それほど切なくはならなかった。父親を渇望する子どもが、何度も詐欺師にあなたが自分の父親なんじゃないかと聞く。そのたびに否定する詐欺師。よく分からない祭りの会場で三日月のセットに座って写真を撮る屋台があって、そこで子どもは一人で写真を撮る。それから、またあとで父親(と思い込んでいる詐欺師)と一緒に取りに来ると写真屋の店主に言ったのだろう、再び訪れたときに、さっき一人で撮った写真は出来上がっているぞ、父親はどうなった、と聞いてくる店主に対して、詐欺師が付いて来てくれず不貞腐れた態度で返事をする子ども、一人で三日月に座って不満そうな顔で映っている現像された子どもの写真。映画の中ではついに詐欺師と二人で写真を撮ることは叶わなかったけれど、映画のジャケットと言うのか、ポスターと言うのか、そこでは二人で三日月に座って笑っていたなと思い確認してみたら、全く笑ってなかった、ただただカメラを見つめているだけだった。子どもに至ってはタバコを指に挟んでいて、勝手に脳内で幸せ補正をかけていた。あと、子役の名前がテイタム・オニールでスピッツの曲名やんとなり、調べてみたらテイタム・オニールの出ていた映画「がんばれ!ベアーズ」に影響を受けて作った曲だから、そういう曲名になったらしかった。へえ~。「がんばれ!ベアーズ」もどこかで見ようと思う。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

ちなみにPaper Moonの意味。

 

pmcafe.weebly.com

 

「Paper Super Moon」は、三日月のスーパームーンなんてないからありえないか。でも、そもそもペーパー・ムーンが張りぼてで偽物の月なんだから、ありえなくても作ってもいいか。ただのでかい三日月やけど。

 

映画「息子」を見た。

 

息子

息子

  • 三國連太郎
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前半から中盤ぐらいまでずっと昔の家族観を見せられて退屈だったけれど、終盤の東京で暮らす次男の元を訪ね、次男から結婚するという報告を聞いたおとっつぁんが、嬉しくなって興奮して中々眠れず、ついには起き上がって歌を歌ってしまうところが良かった。ベタではあるけれど、不器用で手のかかる次男がなんだかんだで一番可愛いみたいな価値観。次男が結婚して、孫が産まれて、そうしたら岩手の実家で孫の面倒を見ないといけねえ、「おまえはいつまでおれん世話になる気だ」って、おとっつぁんが勝手に想像を膨らませて言ったところが面白かった。というか可愛かった。最後の東京からおとっつぁんが実家のある岩手に帰ってきたシーン、東京に行って家を空けている間に庭には腰ぐらいの高さまで雪が積もっており、新雪を踏んではかき分けて進んでいく長回しのシーン。どうやら自分はこういう何かの様子をじっと見つめているみたいな撮り方のシーンが好みのようで、このシーンを見ながら何かおとっつぁんに悲しいことが起きるんじゃないかとハラハラしたけれど特に何も起きず、自分は予定調和的な展開をつまらないとして嫌おうとしながらも、それに抗えず予感していることを意識した。とはいえベタな展開の多い映画だった。なぜか印象に残っているのは、新幹線が走り去った後の線路に雪が巻き上がるシーン。今回見た映画はどれも人と人との関係性を描いたものだった。

 


F L A T 6【ROOM01】LIVE ACT:ASOBOiSM / Laura day romance / masa 🔈Streaming Live from TOKYO

 

この動画のLaura day romanceのライブがめちゃくちゃ良い。「rendez-vous」で、ギャリギャリジャキジャキにギターを弾きまくっているのがめちゃくちゃかっこよくて、こんなにギターを弾いているなんてCD音源では気づかなかった。それはギターだけじゃなくてドラムもそうで、CDじゃあ落ち着いた感じなのにライブでは迫力があってカッコ良かった。ほんでもってそれはギターとドラムだけじゃなくてボーカルもそうで、「lovers」の『もう色も変わって久しくなるね』ってところのぶっきらぼうな歌い方とか、マイクに斜になって向き合って歌う佇まいとかがカッコいい(askaやん!ってなった)。そして聴くたびに感じる「lovers」の胸のときめき100%っていう感じ。何でこんなに切なくてかつ嬉しいみたいな感情で胸がいっぱいになるのか。良い。男女ボーカルということで安易な連想になるけれど、スーパーカーの「Lucky」に匹敵する破壊力。

 


SUPERCAR / Lucky (Official Music Video)

 

「Lucky」もギターソロのパートの、アレンジの入ったイントロのメロディに回帰するところで、ああ、良い、と胸がいっぱいになる。Laura day romanceの話に戻るけど、「Sad Number」もこんなにいいAメロを一回しか使わんの勿体ねえって思いながらも、一回しか使われていないおかげで物足りなくてまたすぐに最初から聴きたくなるから、もしこれが計算のうちだったらまんまとやられているのかもしれない。最近は「Seasons.ep」を頻繁に聴いていて、特に「潮風の人」のギターの音、フレーズがカッコいい。

 

 

そんな感じでLaura day romanceのモードになっていて、なんとなくホームページをのぞいたらアーティスト写真が三人になっていて、結構前に男性ギターボーカルのメンバーが脱退していた。「lovers」どないすんねん、あんなに良い曲やのに、という衝撃。そういえば猫戦のメンバーも脱退が続いていて、良いバンドやのに、と思って調べたらキーボードが新しく入っていた。「蜜・月・紀・行」は東京に行ったときにずっと聴いていたから、聴くたびに東京を思い出す。学生のころはCDアルバム一枚三千円は高いなあと思っていたけれど、社会に出て働くようになってから(と書きながら、別に働いてなくても社会には出てるやろと思った)経費という概念が身近なものになり、一枚三千円で何枚売れたとしても、メンバー何人で、作ったり宣伝したりでお金がかかるから……と考えみれば全然高くないなと思い直した。が、しかし、消費者側のこちらも無限の財力を持っているわけではないから、やっぱり高いなと思ってしまうときはあって、パトロンになれるほどのお金持ちになりたい、と自分が芸術家に自分の好みを押し付けるかもしれないとは微塵も考えずに思っている。