7月4日、日曜日の日記。この日は雨が降って蒸し暑くて、家で本を読んでいても集中できなかった。クーラーをつけるのはまだ早いかと思いながらも、結局16時ぐらいの凪の時間に我慢できずにつけてしまった。
クーラーをつけても一度失われた読書への集中力が帰ってくることはなく、ゴロゴロしながらYouTubeを見ていると、関連動画欄にコウケンテツの料理動画が出てきた。最近は同じような料理しか作っていなくて、ちょうど何か新しいレパートリーを増やしたいと思っていた。それに加えて、彼のことを知っていたのもあって動画を再生してみた。自分は何となくコウケンテツを、関西のローカル番組で今はもう終わってしまった「ちちんぷいぷい」で目にしたような気になっていたのだが、この折りに出演していたかどうかを調べてみたところ、全然出演していた感じはなくて完全に気のせいであった。それでは一体全体どこで見たのだろう、テレビ朝日のナイトインナイトのワンコーナーだろうか、などと色々考えてみたが全くそれらしいものは思いつかず、まあいいかとなって料理動画に戻った。新しい料理のレパートリーを増やしたいと言ったにもかかわらず、やはり目に止まるのは自分の好きな料理で、すでに別のサイトのレシピを見てよく作っている、茄子を味噌で味付けした「なすみそ」の動画を押してしまった。
コウケンテツの話す関西弁は柔らかくて、料理の説明を聞いているとなんだかトゲトゲしたものが取れていくような気持ちになってくる。そして、自分は今までなすみそを作るときには、味噌やらみりんやら酒やら醤油やらの調味料を一緒くたに混ぜてからドバッと茄子にかけていたのだが、この動画では「しょうゆファースト、おみそラスト!」と、調味料を分けて味噌は最後に入れるのがポイントとされていた。動画を見ていざ説明通りに作ってみると、たかだか調味料の加え方を変えただけなのに、今まで自分が作っていたものよりもずいぶんと美味しく味噌の香りが立ったものができて、たかだかと思っていたものがたかだかではなかったことを思い知らされたと同時に、安直ではあるが、美味しい料理の作り方を知っている人に対する尊敬の念が湧いてきた。先に砂糖、酒、醤油を入れて、ジュワッと音を立てながら茄子が醤油色に染まるのを見たときの楽しさよ。個人的には、この動画でコウケンテツが砂糖を加えるときに「おさとぅー」と言うところが好き。
もうこの「なすみそ」の美味しさで、自分の中のコウケンテツに対する信頼感が一気に跳ね上がって、何となくで買ってあった牛肉と玉ねぎを使ってできる、彼が紹介している美味しそうな料理はないかと調べたところ、醤油だけで味付けをする牛肉と玉ねぎの醤油炒めのレシピを見つけた。その料理のレシピはLEEというサイトで公開されているものなのだが、これに似た料理がYouTubeのほうにも上がっていて、その二つを参考にしながら料理を作った。
YouTubeの動画では、薄切りにした玉ねぎを8分ほど炒め、甘くなったのを確認してから牛肉を加えるようにと紹介されており、実際に8分間炒めた時点で玉ねぎを味見してみたのだが、甘いのかどうかがよく分からなかった。とりあえず動画と同じぐらいかさが減るまで炒めてみようと火にかけ続けたところ、結局20分近くも時間がかかった。そして、20分炒めた末に食べてみた玉ねぎの味が甘いのかどうかが分からず、もうこれぐらいでいいだろうと、半ば諦めたようにしてそこに牛肉を加えた。そうしてできた料理はなんやかんやで美味しくて、これまた自分の中でもう1段コウケンテツを信じる気持ちが強くなった。なにより最後に振りかけたブラックペッパーが効いていた。胡椒の美味しさというものに自分は大学生のころに気づいたのだが、そのきっかけは居酒屋で食べたブラックペッパー入りのポテトサラダであった。別にブラックペッパーの入ったポテトサラダを食べるのは大学生になってからが初めてではなかったが、ポテトサラダにブラックペッパーという組み合わせがバッチーン!と自分の中で噛み合ったのがちょうどそのタイミングだったのだろう。それ以来、コンビニでブラックペッパー入りのポテトサラダを好んで買うようになり、食べるたびに、入れようと思ったやつ天才やな、と過剰に賞賛し、野菜炒めを作るときなどにも胡椒をかければかけるほど美味しくなるという考えを抱くようになった。そして実際美味しくなっている気がするのである。かければかけるほど良いといったものは他にもあって、それは例えばネギ。自分が小さいころ、家の近くにあったラーメン屋では各テーブルの上にザルが置かれていて、その中にたんまりと入ったネギが入れ放題となっていた。父親はよくラーメンが届くとその上に麺が見えなくなるほど盛り盛りにネギを入れて食べていた。それを見た当時の自分は、ネギの何がそんなに美味しいのかと思っていた記憶があるが、今の自分ならば父親と同じようにネギをドバドバ入れてラーメンを食べることだろう。牛丼に紅しょうがも気づけば盛り盛り入れるようになっていたもんよ。
晩ご飯を食べ終えてゆっくりしているとあっという間に23時。日曜日の夜は時間の流れが早い。楽しみにしていた、ロングコートダディとセルライトスパとニッポンの社長のコント番組、関西コント保安協会を見る。
いつかロングコートダディの堂前がTwitterでやりたいと言っていたものが実現していて、言ってみるもんやなあ、と自分が言ってもないのに思う。
各メディアの方々、「関西コント保安協会」というコント番組をさせてもらえないでしょうか🌾どんな時間でも構いません、本格的なセット組んでコントしたいです(^^)🌾
— ロングコートダディ堂前 (@lcd_doma) 2020年10月20日
「引っ越し」というタイトルのコントが面白くて、その中でかかっている「Lはラブリー」という楽曲がしばらく頭から離れなくなった。
テレビを見みながら笑っていると、今年初めてつけたクーラーからの風にまだ体が慣れていないのか鼻水が出てきて、ティッシュで鼻をかむと、晩ご飯に食べた玉ねぎの、味ともにおいともつかないものがのどと鼻の奥にむんっと広がってきた。そこで、今年初めてクーラーをつけた日は7月4日か、と意識したのと同時に、あさってサラダ記念日やん、といったことに気づいた。そこから、それ町のサナダ記念日の話を思い出して、また読み直そうなんてことを考えた。
けれども、それ町は読み始めると止まらず、0時前のこのタイミングで読み返し始めると夜更かしは必至、月曜日からいきなりしんどくなると思い、悲しいかな、自制をし、涼しい空気に満ちた快適な部屋で眠ることにした。