牛車で往く

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いつまでも青春時代の思い出話を繰り返すのだ(原田宗典「十七歳だった!」)

だれにでも青春時代はある。それが美しいものか、そうでないかは別として。そして、たいていの青春時代の出来事は、良いことであろうが、悪いことであろうが、なんとな~く良い思い出のように思えるのである。私もよく高校時代は楽しかったなあと思い出すことがある。友達と飲みに行っても、今の話をするよりも、もう何十回と繰り返して、しゃべり倒してきた思い出話をまた話したりする。そして、それが何度やっても楽しいのだ。冷静になれば、高校時代の自分は、毎朝起きて学校に行くのもめんどくさくて、授業も退屈だし、部活も大して面白くないと思っていたことだろう。だけど、学生じゃなくなった今、振り返ると、学校に行くのはなんと楽しいことで、友達と会えるのはなんと幸せなことで、部活動をするのはなんと素晴らしいことだと思うのだ。

 

そんな青春時代を振り返って書かれたエッセイがこちらだ。

 

十七歳だった! (集英社文庫)

十七歳だった! (集英社文庫)

 

 

ド直球のタイトル。原田宗典が、自分のオッサン化に伴う記憶の薄れを感じ始め、忘れてしまわないうちに高校時代の思い出を残しておこうと書かれたこの本。やっぱり、自分の青春時代を思い出すのは少し気恥しいのか、わざとふざけたような文体。可愛らしいといえば可愛らしいし、気持ち悪いっちゃあ気持ち悪い。でも、しょうがない。自分の青春時代なんて、普通のテンションで赤の他人に教えることはできない。多少無理せんと、そんなことできない。

 

原田宗典が、初めてたばこを吸ってそれが先生にばれかける話や、初めて女の子と川原で二人きりになった話、初めて家出をした話などが載っている。どれも面白くて、ちょっと痛いという絶妙さなのだが、この本の本当に素晴らしい部分は"あとがき"なのである。以下ちょっとネタバレ。

 

あとがきは、原田宗典がもうすでに大人になったころの話である。原田宗典の父親が映写機を買ってきて、家族で「宗典高校二年生・修学旅行」と書かれたフィルムを見るという内容。そのフィルムには、高校二年生の笑っている自分が映っており、その笑顔を見て家族はみんな笑っていたが、原田自身は何とも言えない甘酸っぱいきもちがのどに詰まって笑えなかったらしい。

 

まるで昨日見た夢の内容を、見知らぬ人にいきなり指摘されたような驚きがあった。 p212 

 

なんと素晴らしい文章。この部分を読んで感動してしまった。確かに、大人になった今、青春時代というのは、まるで夢の中の出来事だったようだ。そして、自分しか知り得ない思い出だ。そんな中、青春時代の映像を見ると、朧気だった記憶がその映像によって呼び戻され、確かに青春時代はあったのだとハッとさせられる。恥ずかしくも、胸の奥がじんわりと温かくなっていく気持ち。いやあ、なんと素晴らしいあとがきなんだろう。こっちまで感動してしまうよ。

 

昔ばっかり振り返っていても、今現在何かが変わるわけではない。だけど、それでもしつこく昔ばかり思い出してしまうのは、やっぱり青春時代は素晴らしいものだったということなのだろう。

 


never young beach - fam fam(official video)

 

never young beachは、昔はよかったなんて思ったことないって言ってるけど、私は昔はよかったと思ってばっかりでございます。そういいながら未だに64やってるやんて感じやけど。